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2005年(平成17年)
 
  コーラスライン
  エビータ
  cats(五反田・2回目)
  エビータ(2回目)
  オペラ座の怪人
  アンチゴーヌ
  解ってたまるか!(2回)
  cats(五反田・3回目)
  夢から醒めた夢
  アスペクツ オブ ラブ
  李香蘭
 

2005年(平成17年)
【2月2日】
エビータ
 
劇団四季    四季劇場 秋
 
 
エビータ井上 智恵 チェ芝 清道
ペロン下村 尊則 マガルディ渋谷 智也
ミストレス久居 史子  
 
 
今月の末にチケットを取ってあったのですが、諸処の評判が良いのでどうしても観に行きたくなってしまい、3150円の「上の方ちょっと見切れます」という席を取り、見てきました。

貧しい私生児としてアルゼンチンの田舎で育ったエビータは、アルゼンチンのファーストレディにまで上り詰めた実在の女性。
貴族たち上流の社会からの差別や蔑みを憎み、野心で上り詰めていった彼女は、大統領である夫とともに政治に関わるようになりますが、先を見据えない政策は結局国を貧しくしてゆくこととなります。 それでも労働者たちの熱狂的な支持を受け、若くしてガンで亡くなった後も崇拝されていると言います。

彼女が歩んだ人生の真ん中には悪意があったのではなく、ただ自分の欲望に従って賢明に生きた人だという印象を受けました。
そんな彼女がファーストレディーのポジションにいたことが、正しかったのかどうかは分からないけれど。

エビータ役は井上智恵さん。初挑戦とは思えない堂々とした存在感で、舞台に出てくるたびに目で追ってしまいます。小柄な人ですが、凛としていて体中からエネルギーが溢れ出ています。

現実には接点はなかったのですが、ナレーター役として舞台を進行させるあるチェ・ゲバラ役に芝清道さん。目の前にいる貧しい人に、貴族たちからかき集めた金をばらまくようなエビータのやり方に対して、「なぜきちんと先を見据えないんだ」と問いかけるチェ。終始冷ややかにエビータを見て、冷笑したり、鼓舞したり、肩を押したり、支えたり。芝さんの歌声とまっすぐな存在感がものすごく好きなので、ちょっと肩入れ気味な意見かもしれないけれど、チェは心に一直線に響いてきて、考えさせられる役です。

ペロン大統領役の下村尊則さん。人間の男性の役で横に女性が立っているところ、初めて見たので新鮮でした(笑)。存在感むんむんのいままでのイメージとは違って、個性をぎゅっと押さえ気味な役作りだったように思います。へえ、この人こういう風にもなるんだ、という発見がありました。

そして衣装がものすごくきれい。森英恵さんデザインだそうなのですが、靴、髪飾り、髪型、と細かなところまでそのバランスが考えられていて、何度も双眼鏡で覗いてしまいました。舞台の展開、ライティングが衣装とうまく相まって、その場面場面で独特の世界観をつくりだします。
エビータが田舎にいるときに来ている安っぽいワンピースにはじまり、男性から男性に渉り歩いて成り上がり、だんだんに身につけるものがゴージャスになっていくところ、ファーストレディーになりヨーロッパを歴訪するときの目が覚めるような深紅のドレス。
そして真っ暗な舞台の上でエビータが一人鮮やかなケープを羽織り、力尽き横たわっている様子が、一枚の絵のようにいまでもふと脳裏に浮かんできます。
スーツ姿のぴしりとした下村さんペロンの立ち姿も、雑に軍服を着たチェの乱暴な立ち方もかっこ良かったなあ。

一人の女性の人生を追うという性質上、どちらかというと積極的に吸収しようという姿勢で観ないと楽しめないかもしれません。受け身でとことん楽しませてもらう、というものではなく、集中してエビータの考え方にピントを合わせて追っかけていかないと、把握できない部分が出てきます。
舞台の上が絵のように綺麗なので、それにばかり気を取られがちになるし。でもそれだけでも楽しめるかな。

今度は1F席で観ます。今日座った2F席とは、きっと全然違う見え方をするだろうと、楽しみにしています。

【3月16日】
オペラ座の怪人
 
劇団四季    電通劇場 海
 
 
オペラ座の怪人高井 治 クリスティーヌ・ダーエ佐渡 寧子
ラウル・シャニュイ子爵内海 雅智 カルロッタ・ジュディチェルリ種子島 美樹
メグ・ジリー石倉 康子 マダム・ジリー西島 美子
ムッシュー・アンドレ林 和男 ムッシュー・フィルマン青木 朗
ウバルド・ピアンジ藏田 雅之 ムッシュー・レイエ田代 隆秀
ムッシュー・ルフェーブル深見 正博 ジョセフ・ブケー寺田 真実
男性アンサンブル関 与志雄
長 裕二
喜納 兼徳
増田 守人
岡 智
小泉 正紀
佐藤 圭一
女性アンサンブル平野 万里
岡山 梨都子
石野 寛子
イ ジンヒ
黒田 あきつ
鈴木 さおり
チェ ウンシリ
西山 愛由美
畠山 馨
古屋敷 レナ
室井 優
田窪 万里子
 
 
【5月26日】
cats
 
劇団四季    五反田キャッツシアター
 
 
グリザベラ金 志賢 オールドデュトロノミー種井 静夫
ジェリーローラム・グリドルボーン秋 夢子 バストファジョーンズ
アスパラガス=グロールタイガー
キム スンラ
ジェニエニドッツ高島田 薫 マンカストラップ福井 晶一
ラム・タム・タガー芝 清道 ミストフェリーズ蔡 暁強
マンゴジェリー武藤 寛 スキンブルシャンクス鈴木 涼太
コリコパット徐 元博 ランパスキャット百々 義則
カーバケッティ三宅 克典 ギルバート 萩原 隆匡
マキャヴィティ高 榮彬 タンブルブルータス 岩崎 晋也
 
 
やっちゃいました、前日予約。
芝さんの「エロタガー」が一度見てみたくて、先週のキャスト発表からずーっと気になっていたのです。
行っちゃえ!と決心、前の日に予約、運良く最後の1枚がとれました。

「舞台一部、見えにくい部分がありますが・・・」と言われたのは、2Fの先頭、下手寄り。
電飾の一部が常に見えていますが、大して気になりませんでした。今までは舞台後方、1F4列目、と至近距離で見ていたので、ちょっと引いて、全体を見渡せる席はむしろ良かったかも。
ダンスのときの全体のカタチは今回はじめてちゃんと見た気がします。

芝さんのタガー。なるほどー、いままで見た荒川さんのタガーとは全然違いました。
荒川さんは「アイドル」っぽい(もとアイドルだし)少年のタガーという感じで、芝さんは「だだっこ」悪ガキタガー。悪ガキが時々色目を使うので、どきっとしちゃう人多いのも納得です。
やりたい放題!で、客席の人の視線を一手に集めていました。存在感の強いタガーかもしれません。

金さんのグリザベラ。格好良くて、歌声にしびれちゃいました。昨年、ジーザスクライストスーパースターではじめて拝見して印象深かったので、楽しみにしていたのです。この人の声、私すごく好きだなあ。メモリーでは、感動して泣いている人多数。私も多分に漏れず・・・。

蔡さんのミストフェリーズ。
昨年12月にも見たのですが、ダンスがホントに綺麗でうっとりします。ジャンプが高く、回転はキレがあり、歩き方も優雅。みんなが同じ振りをしていると、体の柔らかさをつい比べてしまいますね・・・。

アスパラガス(バストファジョーンズ)を、キム・スンラさんがやっているんですね。
なんか、荒川さんに似た声の人がいる、なんかしかも動きが素早いぞ・・・と気になっていました。
確か、美女と野獣の野獣とかをやっていたので、この役(割と年いってると思うのですが)をやっているとは思わなかったので驚きました。

最後のコーラスは、いつも以上に鳥肌たちました。
あのレベルの役者さんたちが、あの人数集まってのコーラスじゃあ、迫力あるはずですね。

どうやら、今週のこのキャストは豪華キャストらしいです。
リーダー猫のマンカストラップを、久しぶりに福井さんがやる!とか、その福井さんと芝さんタガーの組み合わせで歌が聴ける、とか、リピーターさんの間では結構な騒ぎに。オークションのチケットもかなり高騰したそうです。
チケットがとれたのはラッキーだったんだなあ。

昼間ということもあり、年輩の方々が多く、突然猫が出てきてびっくりしたときの反応とかが大きくて、客席も楽しかったです。

さて。次の予定も考えないと。

【6月15日】
夢から醒めた夢
 
劇団四季    四季劇場「秋」
 
 
ピコ吉沢 梨絵 マコ紗乃 めぐみ
マコの母末次 美沙緒 メソ有賀 光一
デビル光枝 明彦 エンジェル藤原 大輔
ヤクザ吉原 光夫 暴走族西尾 健治
部長田中 廣臣 老人維田 修二
老婦人北村 昌子 夢の配達人荒川 務
 
 
前日予約に続いて、当日券。
ホームページをチェックしたら、なんと立ち見が出ているではないですか。2100円。
前から気になっていた立ち見、一度試してみようと、当日10時半に窓口に向かいました。

平日のお昼公演ということもあり、どうやら一番乗り。ど真ん中の立ち見席が選べました。
車に乗せてくれるという家人を、雨の中しばらく待っていると、どうやら入り時間だったらしく、役者さんを何人かお見かけすることができました。ちょっと嬉しかった。

*    *

会場の時間となり、まずはロビーパフォーマンス。
秋劇場と春劇場の間の共有スペースに、外部のパフォーマーの方がいて、ライオンキングを観に来たマルコメくんたちも巻き込み、お客さんにちょっかいを出していました。
秋劇場のロビーでは、1Fと2Fに分かれて、実際に舞台に立つ役者さんたちがそれぞれ、ピエロの衣装を着て、お客さんに輪投げをさせたり、ダンスを教えてくれたりと、楽しませてくれます。 待ち時間に退屈しない、というのもありますが、実際舞台がはじまったときに、「あ、さっきいた人が舞台にいる!」と親近感を覚えて、なんだか楽しくなりました。役者さんは大変だけど、いい試みですね。

さて、舞台がスタート。
10年前に、旧バージョンのを青山劇場で見て以来の観劇です。
間、テレビ放送された、ニューバージョンを見ていたのでどんなふうに変わったのかは把握していましたが、そのときから役者さんたちも大幅に変わっているので、見所満載でした。
まずは、ピコの吉沢梨絵ちゃん。
こういう風になるだろうな、と思った通りのピコでした。
歌は聞いていて気持ち良いけれど、ダンスがちょーっと・・・でした。周りのアンサンブルさんたちの体の柔らかさやしなやかな動きが目に入ると、何となく比べてしまう。
でも、そつなくこなすよりも、ピコというキャラクタが出ているので、それはそれで良しという気もします。子犬みたいで、エネルギーが溢れていて可愛いピコでした。

マコの紗乃めぐみさん。
確か前日見たときは、違う人がキャスティングされていたので、どうやら急な登板だったみたいです。 透明感があって、何となく人間離れしている雰囲気がありました。
テレビ放送された時のマコ、木村花代さんは、女の子らしいんだけど芯があって、ぴんとした感じ。 幽霊っぽい、という点では、紗乃さんの方がそうですが、最後の方に行くに連れて現れてくるマコの悲しみやつらさは、木村さんの方が出ていたかなあ。あとは、歌うときに、ちょっと声がふらつくのが気になり残念。
最後、登場人物たちもぼろ泣きのシーンでも涙を見せず、哀しそうに微笑んでいる顔が印象的でした。

マコ母の末次さん。実際にお母さんのこの方、さすがに存在感があって、悲しみがばしばし伝わってきました。立ち姿がきれいで、ああ、こういう雰囲気を持てるように年を重ねたいなあ、と、いつも思うのです。

デビルの光枝さん。もう、見られただけで嬉しいです。
キレのあるダンスを見せるアンサンブルたちの間で、てきとーに踊っている感じが何とも言えません。双眼鏡で覗いたら、メイクも相変わらずすごいですね。楽しかった。

エンジェルの藤原さん。一緒に観に行った連れがかなり気に入った様子。
小柄で可愛らしい印象のエンジェルですが、踊っているとはっと目を惹きます。これからが楽しみ。

そして、夢の配達人、荒川務さん。
軽くて爽やかな配達人、です。ちょっと前までやっていた、Catsのラムタム・タガーが所々に見え隠れ。
テレビで見たときには、顔・存在感ともに濃い下村尊則さんが配達人をやっていて、そこで新しくなった衣装も始めてみました。で、その衣装を荒川さんが着ているわけですが・・・あの衣装は下村さん向けに作ったのかも、とちょっと思いました。
テレビ放送のビデオを何度も観て、下村さんの「これでもか!」という演技に慣れてしまっていたので、正直荒川さんの配達人はちょっと物足りなさを覚えた私でした。

2時間ほど立ったままでしたが、前にあったクッション張りのカウンターに凭れていたので、疲れることなく楽しめました。これなら他の演目でも挑戦できるかも。
上から舞台を見下ろしているので、見え方が特殊ですが、この値段ならちょっと試しに見てみよう、という気になります。面白かったら、きちんとした席を取ればいいのだし。

唯一困ったことは、ぼろぼろに泣きすぎて、持っていったタオルがぐずぐずになってしまったこと。 今度から、専用の大きめのタオルを、持ってくるようにします。
しかし、となりのお兄さんもしょっちゅう男泣きしていたなあ。(というか会場中が号泣しすぎ?)

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帰ってきてから、テレビ放送を録画したビデオを見ました。
2000年の公演で、ピコをずっと演じていた保坂知寿さんの舞台。
梨絵ちゃんのピコもいいね、と話していましたが、保坂さんのピコを見ると、ああやっぱりこれがピコなんだなあ、と。慣れているのもあるけれど、一瞬にしてピコの心に寄り添うことができるのです。
エネルギーは梨絵ちゃんの方があるのだけれど、保坂さんのピコは自然にぱあっと明るいものを振りまいていて、そして深いところからピコの気持ちが涌いてきているような感じがします。
10年以上、ずっと演じてきた人のピコは、こんな風になるんだな、と再認識。
梨絵ちゃん含め、樋口さんや木村さんの、これから徐々に深くなってゆくであろうピコを見るのが楽しみです。

【8月24日】
アスペクツ オブ ラブ
 
劇団四季    自由劇場
 
 
ローズ・ビベール保坂 知寿 アレックス・ディリンガム石丸 幹二
ジョージ・ディリンガム光枝 明彦 ジュリエッタ・トラバーニ大平 敦子
マルセル・リチャード喜納 兼徳 ジェニー・ディリンガム八幡 三枝
ヒューゴ鈴木 聡 エリザベス武 木綿子
 
 
ローズ役の保坂さん、「マンマ・ミーア!」のドナ以外の役はほぼ2年ぶり。
それがずーっと観たかった演目ということで、すごく楽しみにしていました。
座席数500、という、比較的小さな劇場なので、12列目とはいっても舞台が近い近い!

*    *

デビット・ガーネット原作の「Aspects of Love」を、アンドリュー・ロイド・ウェバー氏がミュージカル化した作品です。
17歳のアレックスが、25歳の女優・ローズに恋をするところから全てははじまります。
この二人を軸にした5人の男女の、17年にわたる入り乱れた恋。
昼メロ顔負けのどろどろドラマですが、5人それぞれの揺れる気持ちや強い愛情が語られていて、ただみんな好きな人と一緒にいて、幸せと感じていたいだけなんだよなあ、と、観ているこちらも考え込んでしまいました。

ロイドウェバー氏の音楽が、そんな彼らの苦悩や喜びを大きく包み込みます。
難しい音運びや不協和音の合間に、罠のように仕掛けられているあまりにも美しい旋律。ロイドウェバー氏の音楽には、いつも心ごとすっかり持って行かれてしまいます。
この作品では「オペラ座の怪人」など他の作品以上に、同じメロディーラインの繰り返しが多いのだとか。主立った16種類のメロディーにはそれぞれ、「若い恋」や「父の娘への愛情」「嫉妬」「もつれた恋心」などのテーマがあり、効果的にここぞ!というシーンで使われている、と指摘している方もいました。なるほどなるほど。

客席では、やはりこの作品の音楽世界に心奪われちゃった人がたくさんいたようで、劇場を出るときの行列では、劇中のメロディーを無意識に口ずさんでいる人がたくさんいらっしゃいました。


*    *

また、しっかりとした個性をもっている役者さんがそろっていて、作品のディープな世界をさらに厚く作り上げていた気がします。
アレックス役の石丸幹二さん。 四季をみはじめて10年以上経つのに、よく考えてみると生で観たのははじめてでした。
若くて怖いものなしの、ただひたすらにローズを思う17歳、ローズに裏切られ傷つけられて、それでも思い断てない時期、30を越えてもなお深く慕う様子、と、変化する心が伝わってきて、どうしようもなく切なかったです。
若いころの不器用で一生懸命な様子は特に魅力的でした。はじめの10分で、この人、人気あるはずだなあ、と納得。恰好の良く見せるのではなくて、恰好悪いけれどそれを魅力に感じさせる演技は、誰にでもできるものじゃないだろうなあ、と思いました。

さて。さてさて。
ローズ役の保坂知寿さん
様々な衣装を着こなした立ち姿、しばらく聞いていなかった高音のファルセット、にもう、メロメロでした。
若く一途なアレックスの気持ちと、穏やかな生活を与えてくれる叔父のジョージの間で、心が行ったり来たり、というローズは、その状況だけを見ると「ただのワガママな二股かけの女性」となってしまいがちですが、彼女の中には何か強く求めるものがあって、それを貫きたいがための行動のように思えて、どうにも嫌いになれないのです。
ちょっとしたしぐさや笑顔、甘え方や相手を拒絶する表情が魅力的で、裏切られたり傷つけられても離れられないーという男性の気持ちも分かる気がするし。
でも現実にこういう人が周りにいて、自分に好きな人がいたとしたら、気が気じゃなくて困るだろうなあ。

最後、喪服姿で踊るシーンがあり、一瞬ですが彼女がセンターで踊るのですが、周りのアンサンブルの人が霞んでしまうほどの存在感。ファンの欲目ももちろんありますが、手足の長さと、動きのキレみたいなものが違うのでしょうか?今も頭からあの一瞬が離れません。

アレックスの叔父、ジョージ役の光枝明彦さん
前回が、夢から醒めた夢のデビルだったので、分かってはいてもギャップにびっくり(比べる対象が悪いけど)。
そしてその分、時間をかけて磨かれた格好良さに目が釘付けでした。
複数の女性とつき合ったりしながらも、決断しなくてはいけないところでは決断する。
そして娘ジェニーを見つめる眼差し。素敵でした。

ジュリエッタ役の大平敦子さん。元宝塚の役者さんです。
彼女を観られたのは今回の大きな収穫の一つでした!
歌も聞き応えがあったし、色っぽさに参りました。
髪の毛から足のつま先まで、全てに気合いが入ったキレイさ。
振りや歌い方に宝塚カラーも所々感じましたが、そういう人が四季の役者さんの間に入っているのも面白い。他のいろいろな役でも、観てみたいです。

娘ジェニー役の八幡三枝さん
この役で出始めて二日目ということで、表情が堅いかな、とも思ったのですが、逆にその堅さが若くて一途な感じにも見えました。
周りの状況も、他人の動揺もなにも見えなくて、もうとにかくこの人を愛してる、分かって欲しいという思い詰めた様子が、同じように若くして恋におちたアレックスを、強く強く圧すのです。
いろいろな表情で心を伝えられるのではなく、あんなふうにぶれない視線で一心に見つめる告白は、ある意味最強かもしれませんね。

彼女、綺麗な歌声なのですが、ちょっと不安定さがあったかも。彼女の歌を聴いた後だと、ベテラン勢の歌は、いかに表情が豊かかが際だってしまうように思いました。
これからに期待、です。


*    *

派手な仕掛けはない舞台ですが、主役級の役者陣と、濃密な世界を500人で占有できるというのは、なんとも豪華です。
お客さんの満足度も高かったようで、カーテンコールはいつも以上の回数。最後にはスタンデイングオベイションが続出でした。

来月は二回目、怖い者見たさの最前列で観に行きます。
キャスティングも細々と変わるような話なので、他の人で観るのも楽しみ。
あ、でも最前列は保坂さんで観たい・・・かも。ぼそっ。

【8月26日】
李香蘭
 
劇団四季    四季劇場「秋」
 
 
李香蘭野村 玲子 杉本芝 清道
川島 芳子濱田 めぐみ 王玉林芹沢 秀明
李愛蓮五東 由衣  
山口 文雄
高橋是清
海軍大将
松宮 五郎 李将軍
参謀
丸の内警察署長
松宮 五郎
参謀
関東軍中佐
岡本 隆生 検察官
参謀
川地 啓友
弁護官
連合艦隊通信員
飯村 和也 裁判長
参謀
将軍
種井 静夫
新聞記者遠藤 敏彦 検察官
新聞記者
朝隈 濯朗
溥儀白倉 一成 参謀
関東軍少佐
深見 彰彦
永井荷風
斉藤隆夫
深見 正博 青年将校前田 貞一郎
負傷兵中村 匠 検察官
参謀
池田 英治
奉天放送局員坂本 岳大
(劇団昴)
伝令兵田中 彰孝
伝令兵長谷川 浩司 リットン卿渡邊 今人
山口夫人木村 不時子 李夫人
声楽教師
末次 美沙緒
男性アンサンブル石 路
中島 大介
良知 真次
川原 信弘
張 野
張 沂
杜 彦昊
牛 俊杰
劉 志
王 斌
女性アンサンブル磯津 ひろみ
佐藤 夏木
種市 万里子
岡本 和子
大西 利江子
大橋 令奈
樋口 茜
前川 遙子
光武 礼子
室井 優
ヤマグチM.ユミ
 
 
一度観ないと、と思っていたものの、ずるずると観ずにいたのですが、最近よく一緒に観に行く友だちが、野村玲子さんファンに片足を突っ込んでいて、ぜひ!というので、ついに観ることになりました。
2F最後列、ほぼセンターの席にて。

*    *

観て良かったと思いました。
時々こうして戦争のことを考えることも必要だと。
歴史上の一つの大きな事件『戦争』を捕らえるのではなくて、戦争という状態が、多くの人にどんな影を落としていたのか、を考えることの方が大事かもしれません。
戦争を体験してきた人の話を聞くこともそうだし、こうして誰か個人にスポットを当てた作品を観たり、本で読んだりすることもそう。
昨年末に観た「南十字星」や今回の「李香蘭」を観てみて、そう感じました。
遠くから戦争を勉強していたときよりも今の方が、戦時中のイメージや雰囲気、怖さを身近に感じています。

*    *

題材が題材なので、多分にお勉強的なセリフや説明が多かったのは仕方ないですね。
私は中高校生のころに勉強していたので「満蒙」とか「張作霖」とか、そうかそんな繋がりだったね、と思いながら観られました。が、中学生以下の人にはちょっと、難しいかもしれない(実際この日、客席にも何人か、小学生くらいの人がいました。)。戦時中の映像も流れるし、キツいな、と思って苦手にしちゃうかもしれない、と(余計なことながら)ちょっと心配にもなりました。

でも所々に李香蘭レビューのシーンなど、華やかなシーンも挟まっていてちょっと息抜きをすることができます。
満州国建国を祝っているシーンのナンバーが良かったなあ。
もちろん、それが純粋に両手放しで喜べる事柄でないことは重々承知してはいるのですが。

また衝撃的だったのは、特攻隊や兵隊として戦地で死ぬ運命にある若者たちの独白。
舞台にばらばらと十数人が並び、それぞれに思いを語るのですが、「死ぬことは怖くない。お国の為に」と言い聞かせながらも、心の中にはやはり怖さや悲しみが一杯に広がっていることが伝わってきて、つらかったです。
まえに特攻隊の映像をTVでみかけ、無邪気にただ、自分のすることが正しいと信じ切っている怖さを感じた、と書いたことがあるのですが、ああ、心の深いところにはやっぱり迷いや葛藤があり、でもそれを封じ込めて死んでいったのかもしれないなあ、と思ったのでした。

さて、出演者の方々について。

まずは李香蘭役の野村玲子さん
ひそひそと言われている「歌」は確かにちょっと、聞いていてハラハラしましたが、さすが10年以上この役を演じているだけあって、その存在感はすごい。
大人になった香蘭のレビューシーンは華やかでキレー・・・。うっとり。何度も双眼鏡を覗いちゃいました。 そして7歳の香蘭も(ある意味)見物!
スカートが短いとかそういうことはさておき、不思議と、観ているうちにホントの子供のような気がしてくる・・・。「でもさ、こどものシーンで彼女、いつも何か拾おうとしゃがんでるんだけど・・・何拾ってるんだろ?」とは友だちの感想。確かに・・・何だろう?

体が小さく脆そうに見えて、でも信じることを伝えたいと強く願う。そんな香蘭でした。
今回は他の役者さんの香蘭も登場予定だそうで、そちらもちょっと気になるな。

杉本役の芝清道さん
濃くてあつーいキャラクターに慣れてしまっているので、おとなしめのいいヤツキャラは、なんか不思議な幹二でした。いや、あついと言えば杉本さんもあついのですが。純粋なあつさと笑顔の裏に何かありそうで・・・むにゃむにゃ。
歌声をたっぷり堪能。香蘭とペアで“るんるんダンス”を踊っていたりして可愛らしかったです。 愛蓮役の五東由衣さん
生で拝見するのははじめて。
綺麗な歌声!他の舞台でも是非観てみたい。
香蘭を大切に可愛がっていて、暖かい気持ちにさせてくれるお姉さんでした。

川島芳子役の濱田めぐみさん
彼女も生で拝見するのははじめて。
・・・すごーい!かっちょいい!!歌声気持ち良いー。

この役、保坂知寿さんが長くやっていらして、そのビデオを前もって観ていました。
知寿さんよりもぴりっとしていて、孤独な感じが引き立っていた気がします。知寿さんの方が、もう少し李香蘭に近く。濱田さんの川島芳子は、距離を置いて、遠くからシニカルに、李香蘭を観ている感じでした。

ああ、アイーダ、観たいなあ。

*    *

そして、アンサンブルのみなさま。
キャスト表をみてびっくり!
観たことのある名前が多いのです。それもベテラン揃い。

一番のびっくりは末次美沙緒さん
暖かくて、すごく好きな役者さんですが、彼女がノースリーブ&ひ、膝丈スカート?!
次にびっくりは木村不時子さん
かなり初期からいらっしゃる年輩の役者さんですが、えっ、アンサンブルと一緒に踊っちゃうの?!
と、ちょっとびっくりショーを観たような、お得な気分に。

それ以外にも松宮五郎さん青木朗さん、そしてちょっと前に行方不明で心配されていた深見正博さんなど、毎度舞台を締める役目の、重要な役者さんがぞろぞろ。
でも顔を知っているので、あるときは中国の民衆、あるときは日本の農村の民、と衣装を替えても明らかに認識できてしまい、なんか変な感じでした。

そしてアンサンブルには、中国人のお名前も多く入っています。
彼らはまた、違った思いでこの舞台に参加しているんだろうな、と逡巡。
10年ほどまえに、中国で公演をしたこともあるそうで、その時期にどう受け止められたのかも知りたくなりました。

次は異国の丘を観に行く予定。です。


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